歯科コラムcolumn
入れ歯が痛い・合わない原因と対処|調整と作り直しの目安を武蔵小金井の歯科医師が解説2026/10/18
「入れ歯が当たって歯ぐきが痛い」「噛むと痛くて食事がつらい」「最近、入れ歯が合わなくなってきた」——入れ歯の痛みや違和感は、食事や会話に直結するため、毎日の悩みになりやすいものです。
結論からお伝えすると、入れ歯が痛い・合わない原因の多くは、縁の当たりや内面に挟まった異物、歯ぐきや骨の変化による不適合、噛み合わせのずれ、バネをかけた歯のトラブル、入れ歯の破損のいずれかです。
原因がわかれば、歯科医院での調整や裏打ち(リライン)、修理などで改善が期待できる場合も少なくありません。大切なのは、痛みを我慢して使い続けたり、ご自身で削ったり接着剤で直したりしないことです。痛む場所(歯ぐきの一点か、全体か、バネの歯か)と場面(噛んだときか、外していても痛むか)を観察しておくと、原因の見当がつけやすくなります。
この記事では、武蔵小金井で診療を行う当院の歯科医師が、入れ歯が痛い・合わない主な原因、痛む場所と場面別の原因早見表、新しい入れ歯に慣れるまでの経過、ご自宅でしてよいこと・避けたいこと、歯科での調整・裏打ち・修理・作り直しの判断の目安までを順に解説します。今の痛みにどう対処し、いつ歯科医院に相談すればよいかがわかることを目指した内容です。
この記事の目次
- 入れ歯が痛い・合わない原因は?主な6つの原因
- 入れ歯のどこが・いつ痛い?場所と場面でわかる原因の早見表
- 新しい入れ歯・初めての入れ歯が痛いのは慣れるまで我慢すべき?
- 入れ歯が当たって痛いときの自宅での対処法と、やってはいけないこと
- 入れ歯の痛みは調整で治る?裏打ち・修理・作り直しの判断の目安
- 部分入れ歯のバネ(金具)をかけた歯が痛いのはなぜ?
- 入れ歯の痛みで受診するときに伝えたいことと、定期チェックの大切さ
- よくある質問(FAQ)
- 武蔵小金井で入れ歯が痛い・合わないとお悩みの方へ
この記事の要点
- 入れ歯が痛い・合わない主な原因は、縁の食い込みや擦れ、内面の異物、歯ぐきや骨のやせによる不適合、噛み合わせのずれ、バネをかけた歯の歯周病、入れ歯の破損です。
- 「どこが」「どんなときに」痛むかを整理すると原因の見当がつきやすく、受診時に伝えることで調整の手がかりになります。
- 新しい入れ歯は装着後に何度か調整してなじませていくのが一般的で、痛みを我慢して使い続ける必要はありません。
- 自分で削る・曲げる・接着剤で直す、安定剤に長く頼り続けるといった対応は、かえって不具合につながることがあるため避けてください。
- 歯科では状態に応じて調整・裏打ち(リライン・リベース)・修理・作り直しを検討し、定期的なチェックで合わない状態を早めに見つけることが大切です。
入れ歯が痛い・合わない原因は?主な6つの原因
入れ歯が痛い・合わない原因は、主に「縁の当たり」「内面の異物」「歯ぐきや骨の変化」「噛み合わせ」「バネをかけた歯」「入れ歯の破損」の6つに分けて考えられます。原因によって対処法が異なるため、まずはどれに近いか見当をつけることが大切です。
入れ歯(義歯)とは、失った歯や歯ぐきの形と機能を補うための、取り外しできる装置のことです。歯が一部残っている方に使う部分入れ歯と、歯がすべてない方に使う総入れ歯があり、どちらも歯ぐき(粘膜)の上に乗る「義歯床(ぎししょう)」という土台で噛む力を受け止めます。
日本歯科医師会の「テーマパーク8020」でも、入れ歯が当たって痛いときに考えられる場合として、入れ歯の縁の食い込みや擦れ、内面にイチゴの種やゴマなどが挟まった場合、入れ歯をかけている歯の周りの痛み、入れ歯のひびや欠けが挙げられています(日本歯科医師会 テーマパーク8020「入れ歯があたって痛い」)。
① 入れ歯の縁が食い込む・擦れる
入れ歯の縁(ふち)が歯ぐきに食い込んだり、動くたびに擦れたりすると、その部分に傷ができて痛みます。入れ歯と歯ぐきの形が合っていない状態を「義歯不適合(ぎしふてきごう)」といい、入れ歯の痛みの代表的な原因のひとつです。
新しい入れ歯を入れた直後や、修理・裏打ちをした直後は、使ってみて初めて当たりの強い部分がわかることもあります。歯ぐきに赤い傷や口内炎のようなものができている場合は、この可能性を考えます。
② 入れ歯の内側に食べかすなどが挟まる
イチゴの種やゴマ、小さな骨など、細かい食べ物が入れ歯の内面と歯ぐきの間に入り込むと、噛むたびに押し付けられて傷ができることがあります。食事のあとに急に一点だけ痛くなったときは、まずこの可能性を考えます。
細かいものが入り込みやすいのは、入れ歯と歯ぐきの間にすき間ができているサインでもあります。取り除いて痛みが落ち着いても、同じことを繰り返す場合は、入れ歯の合い方を確認しておくとよいでしょう。
③ 歯ぐきや骨がやせて合わなくなる
歯を失ったあとの歯ぐきやその下の骨(顎の骨)は、時間とともに少しずつ形が変わり、やせていくことがあります。一方、入れ歯は作ったときの形のままなので、歯ぐきとの間にすき間ができ、ガタつく・外れやすいといった状態になります。
入れ歯が動くようになると、縁や内面が歯ぐきと擦れて痛みが出たり、一部に力が集中して傷ができたりします。以前は問題なく使えていた入れ歯が、だんだん合わなくなってきたと感じる場合は、この変化が関わっていることが考えられます。
④ 噛み合わせがずれている
上下の入れ歯(または入れ歯とご自身の歯)の噛み合わせがずれていると、噛んだときに力が一部に集中したり、入れ歯が横に動いたりして、歯ぐきを傷つけることがあります。「外しているときは痛みがないのに、噛むと痛む」場合は、噛み合わせの影響も考えられます。
長く使っている入れ歯では、人工の歯(人工歯)がすり減って噛み合わせの高さや位置が変わっていることもあります。見た目では気づきにくいため、歯科での確認が必要です。
⑤ バネをかけた歯(支える歯)に負担がかかっている
部分入れ歯では、残っている歯にバネ(クラスプ)をかけて入れ歯を安定させます。バネをかけた歯の周りで歯周病が進んでいたり、入れ歯が合わずにその歯へ無理な力がかかっていたりすると、痛む・揺れる・歯ぐきが腫れるといった症状が出ることがあります。詳しくは後の章で解説します。
⑥ 入れ歯が割れた・ひびが入った・バネが折れた
入れ歯にひびや欠けがあると、とがった部分が歯ぐきを傷つけて痛むことがあります。また、バネが折れると入れ歯が安定せず、外れやすくなったり、動いて擦れたりします。
日本歯科医師会の解説では、入れ歯は長年使っていると金属部が疲労を起こして弱くなってくるとされています(日本歯科医師会 テーマパーク8020「入れ歯がこわれた」)。落としたなどのきっかけがなくても、長く使っている入れ歯は破損に注意が必要です。
入れ歯のどこが・いつ痛い?場所と場面でわかる原因の早見表
入れ歯の痛みは、「どこが痛むか」と「どんな場面で痛むか」を組み合わせると、原因の見当がつけやすくなります。下の早見表は一般的な目安で、実際の原因は診察で確認する必要がありますが、受診前にご自身の状態を整理するのに役立ちます。
| 痛む場所・場面 | 考えられる主な原因 | ご自宅でできること | 歯科で行う主な対応 |
|---|---|---|---|
| 歯ぐきの一点がピンポイントで痛む(傷や口内炎のようなものがある) | 入れ歯の縁や内面の一部が強く当たっている、内面に食べかすなどが挟まった | 入れ歯を外し、入れ歯の内面と歯ぐきを清潔にする | 当たっている部分の調整 |
| 歯ぐき全体がじんわり痛む、食後に疲れたように痛む | 歯ぐきや骨のやせによる全体的な不適合、噛み合わせのずれ | 硬いものや大きな塊を控え、痛みの出方をメモする | 噛み合わせの調整、裏打ち(リライン・リベース) |
| 噛んだときだけ痛む(外していると痛みがない) | 噛み合わせのずれ、入れ歯の沈み込みによる圧の集中、人工歯のすり減り | 痛む側で硬いものを噛むのを控える | 噛み合わせの調整、必要に応じて裏打ち |
| バネ(金具)をかけた歯が痛む・しみる・揺れる | バネの歯の歯周病や虫歯、バネの変形、入れ歯の不適合による負担 | 歯と入れ歯(特にバネの内側)をていねいに清掃する | 歯周病・虫歯の治療、バネや入れ歯の調整 |
| 外れやすい・ガタつく・食べかすがよく入る | 歯ぐきや骨のやせによる不適合、バネのゆるみや破損 | 安定剤に頼り続けず、受診の予約をとる | 裏打ち、バネの調整・修理、作り直しの検討 |
| 入れ歯にひび・欠けがある、バネが折れた | 落下や長年の使用などによる入れ歯の破損 | 自分で修理せず、破片も保管して受診する | 修理、状態によっては作り直し |
※上記は一般的な目安です。複数の原因が重なっていることも多いため、実際の対応は診察のうえで判断します。
なお、お口の中の傷や痛みは、入れ歯以外の原因で起きていることもあります。入れ歯を外していても傷や口内炎のようなものがなかなか治らない場合は、入れ歯以外の原因も含めて確認が必要なため、早めに受診してください。
新しい入れ歯・初めての入れ歯が痛いのは慣れるまで我慢すべき?
新しい入れ歯や初めての入れ歯で痛みが出るのは珍しいことではありませんが、慣れるまで痛みを我慢する必要はありません。入れ歯は装着後に何度か調整を重ねて、お口になじませていくのが一般的です。
入れ歯は型取りをもとに作りますが、歯ぐきはやわらかく、噛む力がかかると沈み込みます。また、噛む・話す・飲み込むときの舌や頬の動きによっても入れ歯は動くため、実際に使ってみて初めて当たりの強い部分がわかることがあります。そのため、装着してからの調整が欠かせません。
「慣れ」で落ち着きやすい違和感と「調整が必要な痛み」の違い
装着したばかりの時期に感じる違和感には、使ううちに少しずつ慣れていくものと、調整しないと改善しにくいものがあります。次のように分けて考えると判断しやすくなります。
- 慣れで落ち着いていくことが多いもの:お口の中の異物感、話しにくさ、唾液が増えた感じ、軽い締め付け感など
- 調整が必要なサイン:歯ぐきに傷ができた、噛むたびに同じ場所が痛む、痛みが日に日に強くなる、入れ歯が外れやすく食事にならない など
痛みがあるのに無理に使い続けると、傷が深くなったり、痛い場所を避けて片側だけで噛むくせがついたりすることがあります。「慣れるまで」と我慢せず、調整の予約をとってください。
新しい入れ歯に慣れるまでの過ごし方
- はじめはやわらかく小さめに切った食べ物から始め、少しずつ普段の食事に近づける
- 左右の奥歯でバランスよく噛むことを意識する(片側だけで噛むと入れ歯が傾きやすくなります)
- 声に出して文章を読むなど、会話に慣れる練習をする
- 痛む場所ができたら、無理に使い続けずに調整の予約をとる
- 調整の日は、痛みの出ている状態がわかるよう、歯科医院の指示に沿って入れ歯を装着して来院する
前の入れ歯から作り替えた場合も、形や噛み合わせが変わるため、同じように違和感が出ることがあります。古い入れ歯をどうするか(新しい入れ歯になじむまで保管しておくかどうか)は、あらかじめ歯科医師に相談しておくとよいでしょう。
入れ歯が当たって痛いときの自宅での対処法と、やってはいけないこと
入れ歯が当たって痛いときにご自宅でできるのは、「入れ歯を外して歯ぐきを休ませる」「入れ歯とお口を清潔にする」「早めに歯科医院を受診する」の3つです。反対に、自分で入れ歯を削る・曲げる・接着剤で直すといった対応は、かえって状態を悪くすることがあるため避けてください。
自宅でしてよい応急対応
- 痛みが強いときは入れ歯を外し、傷のある歯ぐきを休ませる
- 入れ歯の内面に食べかすなどが挟まっていないか確認し、入れ歯用ブラシを使って流水で清掃する
- うがいでお口の中の食べかすを洗い流し、残っているご自身の歯もていねいにみがく
- 外した入れ歯は乾燥させないよう、水や入れ歯洗浄剤を入れた容器で保管する
- 痛む場所と場面をメモし、早めに歯科医院を受診する
日本歯科医師会の「テーマパーク8020」でも、傷が治るまで入れ歯を外して清潔にすれば傷は治ってくるものの、早めに歯科医院で入れ歯を調整する必要があるとされています。また、入れ歯用ブラシを使って流水で清掃し、お口の食べかすも洗い流すよう案内されています(日本歯科医師会 テーマパーク8020「入れ歯があたって痛い」)。
清掃のときは、洗面器に水をためておいたり、タオルを敷いておいたりすると、入れ歯を落としてもこわれる危険を減らせるとされています(日本歯科医師会 テーマパーク8020「入れ歯がこわれた」)。
ただし、外して様子を見るのはあくまで一時的な対応です。特に部分入れ歯は、長い期間外したままにすると、残っている歯が動いて入れ歯が入りにくくなることがあります。痛みが落ち着いても、原因を確認するために受診してください。
やってはいけないこと
- 自分で入れ歯を削る・やすりをかける:当たっている場所の見極めは難しく、削りすぎると合い方が悪くなって元に戻せないことがあります。
- バネ(金具)を自分で曲げる:バネが折れたり、バネをかけた歯に無理な力がかかったりするおそれがあります。
- 瞬間接着剤などで割れた入れ歯を直す:ずれた位置で固まると、正しく修理しにくくなることがあります。日本歯科医師会でも、瞬間接着剤などで自分で修理しないよう呼びかけられており、かえって不都合を起こすことが多いとされています。
- 痛みを我慢して使い続ける:傷が深くなったり、片側だけで噛むくせがついたりして、別のトラブルにつながることがあります。
- 入れ歯安定剤やクッションに長く頼り続ける:合わない状態が隠れてしまい、対応が遅れることがあります(次の項目で説明します)。
入れ歯安定剤・クッションは使ってもいい?
入れ歯安定剤は、合わない入れ歯を一時的に使いやすくするための補助的なものです。受診までのつなぎとして短期間使うことはあっても、痛みや不適合の根本的な解決にはならないため、長く頼り続けることは避けましょう。
安定剤には、クリームやパウダー、シートのように入れ歯を粘膜に密着させるタイプと、クッションのように厚みのある素材で入れ歯と歯ぐきのすき間を埋めるタイプがあります。特にクッションタイプは、厚みの分だけ噛み合わせが変わったり、入れ歯の内面に残って清掃しにくくなったりすることがあります。
安定剤でなんとか使える状態が続くと、歯ぐきや骨の変化に気づくのが遅れることもあります。使う場合は製品の説明書をよく読み、毎日きれいに取り除いて入れ歯と歯ぐきを清潔に保ったうえで、早めに歯科で合い方を確認してもらいましょう。
こんなときは歯科医院に相談を
- 入れ歯が当たって歯ぐきに傷や口内炎のようなものができた → 入れ歯を外して清潔にし、早めに受診を
- 新しい入れ歯で、噛むたびに同じ場所が痛む → 慣れるまで我慢せず、調整の予約を
- バネをかけた歯が痛む・揺れる・歯ぐきが腫れている → 歯周病や虫歯の確認のため、早めに受診を
- 入れ歯が割れた・ひびが入った・バネが折れた → 自分で直さず、破片も持参して受診を
- 外れやすい・ガタつく・安定剤なしでは使いにくくなった → 合い方の確認と裏打ちの検討のため受診を
- 入れ歯を外していても傷や痛みがなかなか治らない → 入れ歯以外の原因も含めて確認するため受診を
当てはまるものがある方は、痛みが軽いうちに一度、入れ歯とお口の状態を確認しておくと、比較的簡単な調整で対応できる段階で見つけやすくなります。
入れ歯の痛みは調整で治る?裏打ち(リライン・リベース)・修理・作り直しの判断の目安
入れ歯が痛い・合わないときの歯科での対応は、主に「調整」「裏打ち(リライン・リベース)」「修理」「作り直し」の4つです。当たっている場所が限られている場合は調整で対応できることが多く、歯ぐきとの間に全体的なすき間がある場合は裏打ち、破損している場合は修理、入れ歯そのものの形や噛み合わせに大きな問題がある場合は作り直しを検討します。
調整:当たっている部分や噛み合わせを整える
調整とは、入れ歯の内面や縁のうち、歯ぐきに強く当たっている部分を少しずつ削ったり、噛み合わせの高さや当たり方を整えたりする処置です。歯ぐきの傷の位置と、入れ歯の当たっている部分を確認しながら行います。
一度の調整で痛みがすべて取れるとは限らず、使ってみた結果を確認しながら、何度か調整を重ねることもあります。調整後に別の場所が痛むようになった場合も、遠慮なくお知らせください。
裏打ち(リライン・リベース):歯ぐきとのすき間を埋める
裏打ち(リライン・リベース)とは、入れ歯の歯ぐきに接する面に新しい材料を足したり、床の部分を新しくしたりして、変化した歯ぐきの形に入れ歯を合わせ直す処置のことです。一般に、内面に材料を足して合わせ直すことをリライン(リライニング)、床の大部分を置き換えることをリベースと呼びます。
日本歯科医師会の「テーマパーク8020」では、入れ歯は取り外しができるため、粘膜部分が変化して合わなくなったときに裏打ち(リベース、リライニング)して修理できると説明されています(日本歯科医師会 テーマパーク8020「入れ歯」)。
人工歯や噛み合わせに大きな問題がなく、歯ぐきとの間にすき間ができて外れやすい・ガタつくといった場合に検討される方法です。ただし、入れ歯の材質によって裏打ちのしやすさは異なり、同じ解説では、プラスチック(レジン)の床は裏打ちが容易である一方、金属の床は裏打ちなどがしにくいとされています。
修理:割れた入れ歯・折れたバネを直す
入れ歯の割れやひび、人工歯の外れ、バネの破損などは、状態によって修理できることがあります。日本歯科医師会の解説でも、こわれた入れ歯はできるだけ早めに歯科医院で修理するよう勧められており、修理できる場合と、新しく作り直さなければならない場合があるとされています(日本歯科医師会 テーマパーク8020「入れ歯がこわれた」)。
割れた破片や外れた人工歯は捨てずに保管し、受診時にお持ちください。破損の状態を確認するうえでの手がかりになります。
作り直し:入れ歯全体を新しく作る
入れ歯の形や噛み合わせのずれが大きい、修理や裏打ちを繰り返しても安定しない、残っている歯の状態が変わって今の入れ歯の設計では対応しにくい、といった場合は作り直しを検討します。長く使った入れ歯は、人工歯のすり減りや材料の劣化など、見た目では気づきにくい変化が起きていることもあります。
入れ歯が合わなくなるまでの期間は、歯ぐきや骨の変化の進み方、残っている歯の状態、使い方などによって大きく異なるため、「何年で作り直す」と一律には言えません。定期的に合い方を確認し、状態に応じて判断することが大切です。
調整・裏打ち・修理・作り直しの判断の目安
| 状態・症状 | 検討される主な対応 | 確認しておきたい点 |
|---|---|---|
| 歯ぐきの一部に傷がある、特定の場所だけ当たって痛い | 調整 | 当たっている部分を確認しながら少しずつ整える。何度か調整を重ねることもある |
| 噛むと痛い、噛み合わせに違和感がある | 噛み合わせの調整 | 人工歯のすり減りが大きい場合は、作り直しも含めて検討する |
| 外れやすい・ガタつく・すき間に食べかすが入る | 裏打ち(リライン・リベース) | 入れ歯の材質によっては裏打ちがしにくい場合がある |
| 入れ歯が割れた・ひびが入った・バネが折れた | 修理 | 破損の程度や入れ歯の状態によっては作り直しが必要になる |
| 修理や裏打ちを繰り返しても安定しない、噛み合わせのずれが大きい、残っている歯の状態が変わった | 作り直し | 新しい入れ歯も、装着後に調整を重ねてなじませていく |
※一般的な目安であり、実際の対応は入れ歯とお口の状態を診察したうえで判断します。
作り直すときは保険の入れ歯と保険外の入れ歯がある
入れ歯を作り直す場合、保険が適用される入れ歯と、保険適用外(自由診療)の入れ歯があります。日本歯科医師会の解説では、部分入れ歯について、床がプラスチックのレジン床義歯は保険適用で修理や裏打ちが容易な一方、強度を持たせるために床がある程度厚くなると説明されています。
同じ解説では、床が金属の金属床義歯は保険適用外で、床を薄くできるため異物感が少ない一方、裏打ちなどがしにくいとされています。また、バネの代わりに磁石(磁性アタッチメント)や二重冠(コーヌス)の力で入れ歯を安定させる方法もあり、これらも保険適用外とされています(日本歯科医師会 テーマパーク8020「入れ歯」)。
どの入れ歯が合うかは、残っている歯の状態や、見た目・装着感・修理のしやすさなど何を重視するかによって変わります。入れ歯の種類ごとの特徴は入れ歯(義歯)の種類と選び方を解説した記事で、入れ歯以外の方法も含めて比べたい方はインプラントとブリッジの違いを比較した記事で詳しくご紹介しています。
当院の入れ歯治療については、当院の義歯(入れ歯)診療のページでもご案内しています。
部分入れ歯のバネ(金具)をかけた歯が痛いのはなぜ?支える歯を守るポイント
部分入れ歯のバネ(金具)をかけた歯が痛むときは、その歯の周りの歯周病や虫歯、入れ歯が合わないことによる負担の集中が主な原因として考えられます。バネの歯は入れ歯を支える大切な歯なので、痛みや揺れを感じたら早めに確認することが大切です。
日本歯科医師会の解説によると、部分入れ歯は、残っている歯にかけるバネ(クラスプ)、人工歯、歯のない部分の粘膜の上に乗るピンク色の床(義歯床)などからできており、バネのかかっている歯と床の下の粘膜で力を負担するとされています(日本歯科医師会 テーマパーク8020「入れ歯」)。
つまり、バネの歯と歯ぐきがバランスよく力を分け合うことで、部分入れ歯は安定します。歯ぐきがやせて入れ歯が沈み込んだり、バネの歯が歯周病で弱ったりすると、このバランスが崩れて痛みやぐらつきにつながります。
バネをかけた歯が痛む主な理由
- バネの歯の周りの歯周病:バネの周りは汚れがたまりやすく、歯ぐきの炎症が進むと、痛み・腫れ・揺れの原因になります。
- バネの歯の虫歯:バネが触れている部分やその周りは磨き残しが起きやすく、虫歯になることがあります。
- 入れ歯の不適合による負担:歯ぐきがやせて入れ歯が沈み込むと、バネの歯に無理な力がかかりやすくなります。
- バネの変形やゆるみ:落下や着脱のしかたなどでバネが変形すると、歯を締め付けたり、逆にゆるんで入れ歯が揺れたりします。
日本歯科医師会の「テーマパーク8020」でも、入れ歯をかけている歯の周りが痛い場合として歯周病や義歯不適合が挙げられ、入れ歯と歯を十分に清掃したうえで、歯周病の治療と入れ歯の調整が必要とされています。
バネの歯を守るためのセルフケア
- 入れ歯を外してから、バネをかけた歯の周りを歯ブラシでていねいにみがく(歯と歯ぐきの境目、バネが触れる面を意識する)
- 必要に応じて歯間ブラシやタフトブラシ(毛先が小さな筆のような形の歯ブラシ)を使う
- 入れ歯のバネの内側も、入れ歯用ブラシで汚れを落とす
- 入れ歯を噛んで押し込むように装着せず、歯科医院で説明を受けた方法で着脱する
バネの歯の歯ぐきが腫れている、揺れてきたといった場合は、入れ歯の調整とあわせて歯周病の治療が必要になることがあります。歯周病の治療の流れについては歯周病治療について解説した記事で、当院での診療内容は当院の虫歯・歯周病の診療ページでご案内しています。
入れ歯の痛みで受診するときに伝えたいことと、定期チェックの大切さ
入れ歯の痛みで受診するときは、「いつから」「どこが」「どんな場面で」痛むかを伝えると、原因を探す手がかりになり、調整を進めやすくなります。また、痛みがなくても定期的に入れ歯とお口の状態を確認することで、合わなくなる前に対応しやすくなります。
受診時に伝えるとよいこと
- いつから痛いか:新しい入れ歯にしてから、修理の後から、数日前から急に、など
- どこが痛いか:上か下か、右か左か、前か奥か、歯ぐきか、バネをかけた歯か
- どんなときに痛むか:噛んだとき、入れたとたん、話すとき、食後、外しているときも痛むか
- 何を食べると痛むか:硬いもの、繊維の多いもの、粘りのあるもの、細かい種のあるもの など
- 入れ歯の状態:外れやすい、ガタつく、ひびや欠けがある、バネが変形している など
- 安定剤の使用:使っているかどうか、どのタイプをどのくらい使っているか
- 全身の状態:服用中のお薬、体重の大きな変化、体調の変化 など
受診の際は、ふだん使っている入れ歯を忘れずにお持ちください。症状をメモにまとめておくと、診察のときの伝え漏れを防げます。ご家族が付き添われる場合は、食事の様子など気づいたことを一緒に伝えていただくのも参考になります。
定期的なチェックが大切な理由
入れ歯は、一度合わせれば終わりというものではありません。歯ぐきや骨の形、残っている歯の状態、噛み合わせは少しずつ変化していくため、今は痛みがなくても、気づかないうちに合い方がずれていることがあります。
入れ歯や被せ物などで失った歯の機能を補う治療を扱う日本補綴(ほてつ)歯科学会も、年齢とともにお口の中は変化していくため、定期的な歯科健診や治療、クリーニングが大事だとしています(日本補綴歯科学会「補綴歯科ってどんな治療?」)。
同学会の解説では、「お口の機能が健常な状態」と「お口の機能が低下してしまった状態」の間にある状態をオーラルフレイルと呼び、固いものが噛めなくなった、むせる・食べこぼすといった自覚症状がないか確認するよう呼びかけています。入れ歯が合わずに噛みにくい状態が続くと、食べられるものが限られてしまうこともあるため、早めの相談が大切です。
定期チェックで確認する主なポイント
- 入れ歯の合い方(すき間・ガタつき・強く当たっている部分)
- 噛み合わせと人工歯のすり減り
- バネのゆるみや変形、入れ歯のひび
- 残っている歯の虫歯・歯周病、歯ぐきの状態
- 入れ歯の汚れと、清掃のしかた
定期検診の内容については、当院の予防歯科・定期検診のページでご案内しています。入れ歯を使っている方も、残っているご自身の歯と歯ぐきを守るために、定期的な受診をおすすめします。
よくある質問(FAQ)
新しい入れ歯が痛いのは慣れるまで我慢すべきですか?
我慢する必要はありません。新しい入れ歯は、使ってみて初めてわかる当たりの強い部分を、何度か調整してなじませていくのが一般的です。異物感や話しにくさは使ううちに慣れていくことが多い一方、歯ぐきに傷ができる、噛むたびに同じ場所が痛むといった場合は調整が必要なサインです。早めにご相談ください。
入れ歯が当たって歯ぐきが痛いときはどうすればいいですか?
痛みが強いときは入れ歯を外し、入れ歯用ブラシで流水清掃をして、お口の中も清潔にしてください。入れ歯の内面に食べかすが挟まっていないかも確認しましょう。外すと傷は落ち着いてくることが多いものの、原因となっている当たりを調整しないと再び痛むことがあるため、早めに歯科医院を受診してください。
入れ歯安定剤やクッションを使ってもいいですか?
受診までのつなぎとして短期間使うことはありますが、長く頼り続けることは避けましょう。安定剤は合わない状態を一時的に補うもので、根本的な解決にはなりません。特にクッションタイプは厚みの分だけ噛み合わせが変わることがあります。使う場合は説明書に沿って毎日きれいに取り除き、早めに歯科で合い方を確認してもらってください。
入れ歯が合わなくなるのはなぜですか?何年くらいで合わなくなりますか?
主な理由は、歯を失ったあとの歯ぐきや骨が少しずつやせて形が変わること、人工歯のすり減りで噛み合わせが変わること、残っている歯の状態が変わることなどです。合わなくなるまでの期間は、お口の変化の進み方や使い方によって大きく異なり、何年と一律には言えません。定期的に合い方を確認することが大切です。
入れ歯の痛みは調整で治りますか?作り直しが必要なのはどんなときですか?
当たっている場所が限られている場合は、調整で痛みの改善が期待できることが多くあります。歯ぐきとの間に全体的なすき間がある場合は裏打ち(リライン・リベース)、割れやバネの破損は修理を検討します。修理や裏打ちを繰り返しても安定しない、噛み合わせのずれが大きいといった場合は、作り直しを検討します。
部分入れ歯のバネ(金具)をかけた歯が痛いのはなぜですか?
バネの歯の周りの歯周病や虫歯、入れ歯が合わないことによる負担の集中、バネの変形などが考えられます。部分入れ歯はバネの歯と歯ぐきで力を分け合っているため、どちらかに問題があるとバネの歯に負担がかかりやすくなります。歯と入れ歯をていねいに清掃し、歯周病の治療と入れ歯の調整を含めて早めにご相談ください。
入れ歯が割れた・バネが折れたら自分で直せますか?
ご自身での修理は避けてください。瞬間接着剤などで直すと、ずれた位置で固まったり、かえって不都合を起こしたりすることがあります。割れた破片や折れたバネは保管して、できるだけ早めに歯科医院を受診してください。状態によって修理できる場合と、作り直しが必要な場合があります。
入れ歯の調整や作り直しは保険でできますか?
入れ歯には、保険が適用されるものと保険適用外(自由診療)のものがあります。たとえば床がプラスチックのレジン床義歯は保険適用、金属床義歯や磁性アタッチメント・二重冠(コーヌス)を用いた入れ歯は保険適用外とされています。今の入れ歯の状態やご希望によって選択肢が変わるため、診察のうえでご説明します。保険外の入れ歯の標準的な費用は当院の料金表をご確認ください。
自由診療について
- 治療内容: 保険適用外の入れ歯(金属床義歯など)の製作・作り直し
- 費用: 自由診療(保険適用外)。費用は治療内容・本数・素材等により異なります。標準的な費用は料金表をご確認ください。
- 期間・回数の目安: 型取りから装着・調整まで複数回の通院が必要です。期間や回数は、お口の状態や入れ歯の種類により異なります。
- 主なリスク・副作用: 装着初期の痛みや違和感があり、調整が必要になること/歯ぐき(粘膜)や骨の変化によって合わなくなることがあること/金属床など素材によっては裏打ちがしにくいこと/バネをかけた歯に負担がかかり、清掃が不十分だと虫歯や歯周病につながることがあること
- お問い合わせ: アクセス・診療時間/お電話 042-316-1588
武蔵小金井で入れ歯が痛い・合わないとお悩みの方へ
入れ歯の痛みや合わなさの原因は、入れ歯とお口の状態によってさまざまです。次のような方は、まずはご相談ください。
- 入れ歯が当たって歯ぐきが痛い、噛むと痛いといった症状が続いている方
- 新しい入れ歯になじめず、調整が必要か確認したい方
- 入れ歯が外れやすくなった、安定剤なしでは使いにくくなった方
- 入れ歯が割れた・バネが折れたなど、修理や作り直しを相談したい方
初回のご相談から治療開始までの一般的な流れは、次のとおりです。
- WEB予約またはお電話でご予約いただきます
- ご来院時に、痛む場所や場面、いつからの症状かなどをお伺いします
- 入れ歯の合い方や噛み合わせ、歯ぐきや残っている歯の状態を確認します
- 確認した結果をもとに、調整・裏打ち・修理・作り直しなど考えられる対応と、その見通しをご説明します
- ご納得いただいたうえで処置を始めます(歯周病や虫歯がある場合は、その治療もあわせて検討します)
- WEB予約(24時間受付)
- お電話: 042-316-1588
- アクセス・診療時間(武蔵小金井駅南口より徒歩3分)
当院はJR中央線「武蔵小金井駅」南口から徒歩3分で、日曜日も診療しています(祝日は休診です)。基本は予約制ですが、急な痛みなどの際は当日予約・急患対応も行っています。お口の状態を拝見し、診察のうえでご説明します。
参考文献・出典
- 日本歯科医師会 テーマパーク8020「お口の119:入れ歯があたって痛い」
- 日本歯科医師会 テーマパーク8020「お口の119:入れ歯がこわれた」
- 日本歯科医師会 テーマパーク8020「入れ歯」
- 日本補綴歯科学会「補綴歯科ってどんな治療?」
監修:秋山 正憲(院長・審美治療/精密治療担当/医療法人社団デルタ)プロフィール
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断や治療方針は診察のうえ個々の状態により異なります。詳しくは歯科医師にご相談ください。

この記事の監修者
秋山 正憲院長・歯科医師(審美治療・精密治療担当)
武蔵小金井ハーヴェスト歯科・矯正歯科 院長。マイクロスコープを用いた精密治療、セラミック治療、ダイレクトボンディングを担当。英語での診療に対応。
SJCD レギュラーコース・マスターコース修了/5D アドバンスコース修了/日本口腔インプラント学会 インプラント100時間講習修了
公開日 2026.10.18 最終更新日 2026.09.26 | 歯科医師紹介
