歯科コラムcolumn
歯が欠けた・折れたときの応急処置|受診の目安と治療法を武蔵小金井の歯科医師が解説2026/10/15
食事中に硬いものを噛んだときや、転んで口をぶつけたときに「歯が欠けた」「歯が折れた」と気づくと、痛みの有無にかかわらず慌ててしまうものです。まずは落ち着いて、口の中の状態を確かめるところから始めましょう。
結論からお伝えすると、歯が欠けたときの応急処置は「口をすすぐ」「出血はガーゼで押さえる」「欠けた側で噛まない」「破片は乾燥させずに保管する」の4つが基本です。そのうえで、痛みがなくてもできるだけ早く歯科医院に連絡し、受診の時期を相談することが大切です。
歯が根元から丸ごと抜けてしまった場合は、特に急ぎます。抜けた歯は洗ったりこすったりせず、乾燥させないように保存液や牛乳に入れて、すぐに歯科医院へ連絡してください。
この記事では、武蔵小金井の当院で一般歯科・外科を担当する歯科医師の監修のもと、応急処置とやってはいけないこと、欠け方別の受診の緊急度と治療法、原因と予防までを順に解説します。読み終えたときに、今の状態で何をすればよいか、いつ受診すればよいかがわかる内容です。
この記事の目次
- 歯が欠けた・折れたときの応急処置は?今すぐやること5つ
- 歯が欠けたときにやってはいけないことは?接着剤・やすり・放置に注意
- 歯が欠けたけれど痛みがないときは?放置するとどうなるか
- 歯が欠けたら何日以内に受診する?欠け方別「受診の緊急度」早見表
- 歯が丸ごと抜けた・ぐらぐらするときは?抜けた歯の保存方法
- 子どもが歯をぶつけて欠けた・折れたときは?保護者が確認したいこと
- 欠けた歯の治療法は?欠け方別の治し方と前歯・奥歯の違い
- 歯が欠ける・折れる原因は?神経を取った歯が割れやすい理由と予防法
- よくある質問(FAQ)
- 武蔵小金井で歯が欠けた・折れたときのご相談なら
この記事の要点
- 歯が欠けたら、口をすすいで状態を確認し、出血はガーゼで押さえ、欠けた側で噛まないようにして、破片は乾燥させずに歯科医院へ持参します。
- 市販の接着剤で破片を付ける、やすりで削る、痛みがないからと放置するといった自己処置は避けてください。
- 痛みがなくても、欠けた部分から虫歯が進んだりひびが広がったりすることがあるため、早めの受診が大切です。
- 歯が丸ごと抜けたときは、歯をこすったり水で洗ったりせず、保存液や牛乳に入れて乾燥を防ぎ、すぐに歯科医院へ連絡します。
- 治療法は欠け方によって異なり、小さな欠けは樹脂での修復、大きな欠けは詰め物・被せ物、神経に達する場合は神経の処置を行い、歯の根が割れた場合は抜歯を検討することもあります。
歯が欠けた・折れたときの応急処置は?今すぐやること5つ
歯が欠けた・折れたときに今すぐやることは、「口をすすぐ」「出血を止める」「破片を保管する」「欠けた側を使わない」「歯科医院に連絡する」の5つです。どれも特別な道具がなくてもできる対処で、受診までのあいだの歯や歯ぐきへの負担を減らすことにつながります。
歯の破折とは、硬いものを噛んだ力や、転倒・衝突などの外からの力によって、歯の一部または全体が欠けたり、割れたり、折れたりした状態のことです。欠けた範囲が歯の表面だけにとどまる軽いものから、歯の神経や歯の根にまで及ぶものまで、程度はさまざまです。
- 口をすすいで状態を確かめる:水やぬるま湯で軽くすすぎ、どの歯が、どのくらい欠けたかを鏡で確認します。強いうがいをくり返すのは控えます。
- 出血があれば清潔なガーゼで押さえる:歯ぐきや唇から出血している場合は、清潔なガーゼやハンカチを当てて、やさしく押さえます。
- 破片を探して乾燥させずに保管する:欠けた破片や折れた歯が見つかったら、清潔な容器に入れ、水や牛乳に浸して乾燥を防ぎます。
- 欠けた側で噛まない・触らない:欠けた歯でさらに噛むと、ひびが広がったり、残った部分が割れたりすることがあります。舌や指で触るのも控えます。
- 歯科医院に連絡する:いつ、どのように欠けたか、痛みや出血の有無を伝えて、受診の時期を相談します。
なお、この記事で扱うのは「歯そのもの」が欠けた・折れた場合です。詰め物や被せ物が外れた場合の対処については、歯が痛い・詰め物が取れた・噛むと痛いときの対処を解説した記事をご覧ください。
痛みやしみる症状があるとき
欠けた部分がしみたり痛んだりする場合は、冷たいもの・熱いもの・甘いものなど、刺激の強い飲食を避けると楽になることがあります。市販の痛み止めを使う場合は、添付文書の用法・用量を守ってください。痛み止めで症状がやわらいでも、歯が治ったわけではない点に注意が必要です。
口をぶつけて唇や頬が腫れているときは、外側から冷たいタオルなどで軽く冷やすと楽になることがあります。頭を強く打った、意識がぼんやりする、吐き気があるといった場合は、歯より先に医科の医療機関を受診してください。
歯が欠けたときに歯磨きはしていい?食べていいものは?
歯磨きは、欠けた歯のまわりをやさしく行う分には問題ありません。汚れが残ると歯ぐきの炎症や虫歯の原因になるため、毛先のやわらかい歯ブラシで、欠けた部分に強く当てないように磨きましょう。出血している部分やぐらついている歯は無理に磨かず、周りの歯をきれいにする程度にとどめます。
食事は、欠けた歯と反対側で噛み、おかゆ、うどん、豆腐、卵料理など、やわらかく噛む力をあまり必要としないものを選ぶと負担を減らせます。せんべいやナッツ、氷などの硬いもの、キャラメルや餅などのくっつきやすいもの、極端に冷たい・熱いものは、受診するまで控えましょう。
歯が欠けたときにやってはいけないことは?接着剤・やすり・放置に注意
歯が欠けたときにやってはいけないことの代表は、「市販の接着剤で破片を付ける」「やすりなどで自分で削る」「痛みがないからと放置する」の3つです。その場しのぎのつもりで行うと、かえって歯や歯ぐきを傷め、本来選べたはずの治療の選択肢を狭めてしまうおそれがあります。
市販の接着剤(瞬間接着剤)で破片を付けない
「アロンアルファなどの瞬間接着剤で、欠けた破片を付けておけばよいのでは」と考える方もいますが、市販の接着剤は口の中で使うことを想定したものではありません。歯ぐきや粘膜を刺激したり、すき間に汚れや細菌を閉じ込めたりするおそれがあります。
また、接着剤が歯の表面に残ると、歯科医院で破片を接着し直したり、樹脂で修復したりする際に、除去に手間がかかることがあります。破片は付けずに、乾燥させないよう保管して持参してください。
やすりや爪やすりで削らない
欠けた部分がとがって舌や頬に当たると、やすりや爪やすりで削りたくなるかもしれません。しかし、自分で削ると、歯の表面を覆うエナメル質を必要以上に傷つけたり、ひびを広げたりするおそれがあります。とがった部分が気になるときの対処は、この記事のFAQでご紹介します。
痛みがないからと放置しない
欠けた直後に痛みがなくても、欠けた部分から虫歯が進んだり、ひびが広がったりすることがあります。放置した結果、あとから強い痛みが出て、神経の治療など大がかりな処置が必要になることもあるため、早めの受診が大切です。詳しくは次の章でご説明します。
そのほか避けたいこと
- 破片をティッシュに包んで持ち歩く:乾燥すると色が変わるなど、再利用しにくくなることがあります。
- 抜けた歯を水道水でゴシゴシ洗う、歯ブラシでこする:歯の根の表面にある組織を傷つけてしまいます。
- ぐらついている歯を指や舌で動かして確かめる:歯を支える組織の傷を広げるおそれがあります。
- 欠けた歯で硬いものを噛んで、噛めるかどうか試す:残った部分がさらに割れることがあります。
歯が欠けたけれど痛みがないときは?放置するとどうなるか
歯が欠けても痛みがない場合でも、歯科医院を受診することをおすすめします。痛みがないのは、欠けた範囲が歯の表面にとどまっている場合や、以前に神経を取った歯である場合などが考えられますが、見た目だけでは判断できません。
歯は外側から、硬いエナメル質、その内側の象牙質(ぞうげしつ:エナメル質よりやわらかく、神経に通じる細い管が通っている層)、中心の歯髄(しずい:いわゆる歯の神経)という構造になっています。欠けた部分で象牙質が露出すると、次のような変化が起こることがあります。
放置すると起こりうること
- しみる症状が出る:象牙質がむき出しになると、冷たいものや歯ブラシの刺激が神経に伝わりやすくなります。
- 虫歯になりやすくなる:象牙質はエナメル質より酸に弱く、欠けた部分の段差やざらつきに汚れもたまりやすいため、虫歯が進みやすくなります。
- ひびが広がる・さらに割れる:目に見えない細かいひびが残っていると、噛む力が加わるたびに少しずつ広がり、大きく割れてしまうことがあります。
- 神経が弱る:ぶつけた歯は、時間がたってから神経が弱り、歯の色が暗く変わってくることがあります。
- 舌や頬を傷つける:とがった部分が当たり続けると、口内炎のような傷ができることがあります。
日本歯科医師会の「お口の119」でも、歯が欠けた・折れた・抜けたときは、できるだけ早めに歯科医院で治療を受けるよう勧められています。痛みがないうちに受診できれば、小さな修復で済むこともあります。
反対に、しみる・痛むといった症状が出てから受診すると、欠けた部分から虫歯が進んでいたり、ひびが深くなっていたりすることがあります。痛みの有無は受診を急ぐかどうかの目安のひとつにすぎず、「痛みがない=問題がない」ではない点を覚えておきましょう。
歯が欠けたら何日以内に受診する?欠け方別「受診の緊急度」早見表
受診のタイミングは欠け方によって異なります。歯が丸ごと抜けた・大きくぐらつく・神経が見えている場合は「すぐに連絡」、大きく欠けた・痛みがある場合は「当日〜数日以内」、小さな欠けで痛みがない場合でも「早めに予約」が一般的な考え方です。
| 欠け方・状態 | 緊急度 | 受診の目安と対応 |
|---|---|---|
| 歯が根元から丸ごと抜けた | すぐ連絡 | 抜けた歯を乾燥させないよう保存液や牛乳に入れ、すぐに歯科医院へ連絡して受診 |
| 歯が大きくぐらつく、位置がずれた、押し込まれて短く見える | すぐ連絡 | 歯を触らずに、できるだけ早く連絡して受診の指示を受ける |
| 折れた断面にピンク〜赤い部分が見える、断面から出血している | すぐ連絡 | 神経が露出している可能性があるため、当日中の受診を相談 |
| 大きく欠けた、しみる・痛む | 当日〜数日以内 | 痛みが強い場合は当日の受診を相談。欠けた側で噛まない |
| 以前神経を取った歯や被せ物のある歯が欠けた・割れた | 当日〜数日以内 | 歯の根まで割れていないかを確認するため、早めに受診 |
| 歯の一部が小さく欠けた(痛み・しみる症状なし) | 早めに予約 | 数日以内を目安に予約。とがって舌や頬が傷つく場合は早めに |
| ぶつけたが欠けておらず、痛みやぐらつきが少ない | 早めに予約 | 一度確認を受け、あとから色や症状が変わらないか経過をみる |
※上記は一般的な目安です。判断に迷うときは、自己判断せずに歯科医院へ電話で相談してください。
歯が欠けたけれど、すぐに歯医者に行けないときは?
仕事や旅行などですぐに受診できないときは、応急処置を続けながら、まず電話で状況を伝えて相談しましょう。多くの歯科医院は予約制のため、予約だけでも先に入れておくと、受診までの見通しが立てやすくなります。
- 欠けた側で噛まず、やわらかい食事にする
- 破片は清潔な容器で水に浸し、冷蔵庫で保管する
- 欠けた部分を舌で触らないよう意識し、口の中を清潔に保つ
- 痛みが強くなった、腫れてきた、出血が止まらないなどの変化があれば、予定を調整して早めに受診する
「数日くらいなら大丈夫」と考えて先延ばしにすると、受診の機会を逃しやすくなります。歯が丸ごと抜けた場合や神経が見えている場合は、時間の経過が治療の見通しに影響しやすいため、ほかの予定より受診を優先してください。
こんなときは歯科医院に相談を
- 欠けた部分がしみる、噛むと痛む:症状に気づいた時点で早めに予約
- 欠けた部分で舌や頬が傷つく、口内炎ができた:数日以内を目安に受診
- ぶつけた歯の色が、しばらくたってから暗く変わってきた:気づいた時点で相談
- 歯ぐきが腫れた、膿のようなものが出る、噛むと浮いた感じがする:早めに受診
- 以前神経を取った歯や、被せ物のある歯が欠けた・割れた:数日以内を目安に受診
- お子さんが歯をぶつけた(欠けていなくても):その日のうちに電話で相談
当てはまる項目がある場合や判断に迷う場合は、一度歯の状態を確認しておくと、今後の見通しを立てやすくなります。
歯が丸ごと抜けた・ぐらぐらするときは?抜けた歯の保存方法
歯が丸ごと抜けたときは、抜けた歯を乾燥させず、こすらず、保存液や牛乳に入れて、すぐに歯科医院へ連絡することが大切です。条件がそろえば、抜けた歯を元の位置に戻す治療(再植)によって、歯が再びくっつくことがあります。
日本歯科医師会の解説では、抜けた歯を元の位置に戻すと再びくっつくことがあり、そのためには歯の根の表面にある歯根膜(しこんまく:歯と骨をつなぐ薄い組織)が残っていること、損傷していないこと、汚染されていないことが大切だとされています(日本歯科医師会 テーマパーク8020「歯牙再植」)。
抜けた歯の保存と持ち運びの手順
同じ解説で示されている保存方法に、一般的な注意点(歯の持ち方)を加えて、受診までの手順をまとめると次のとおりです。
- 歯の頭の部分(普段見えている白い部分)を持ち、根の部分にはなるべく触らないようにする
- 汚れていても、ゴシゴシ拭いたり、水で洗ったりしない
- 乾燥させないよう、歯の保存液があればその中に入れる
- 保存液がなければ、牛乳に入れる
- どちらもなければ、軽く汚れをとって口の中に入れておく
- すぐに歯科医院へ連絡し、受診する
小さなお子さんの場合は、歯を口の中に入れておくと飲み込んでしまうおそれがあるため、この方法は避けて、保存液か牛乳を使いましょう。また、日本歯科医師会の「お口の119」でも、打撲などで歯が完全に抜けてしまった場合は、すぐにかかりつけの歯科医院に連絡するよう勧められています。
ただし、再植は条件によってうまくいかない場合もあるとされています。抜けてからの時間や歯の保管状態、歯の根の状態によって治療の見通しは変わるため、できるだけ早く受診することが大切です。乳歯(子どもの歯)が抜けた場合は、下で育っている大人の歯への影響を考えて、元に戻さない判断をすることもあります。
歯がぐらぐらする・位置がずれたときは
歯が抜けてはいないものの、ぐらぐらする、前後にずれた、歯ぐきに押し込まれて短く見える、といった場合は、歯を支える組織が傷ついている状態(脱臼)が考えられます。ぐらつく歯は指や舌で動かさず、その歯で噛まないようにして、できるだけ早く歯科医院に連絡してください。
歯科医院では、エックス線検査などで歯の根や骨の状態を確認し、必要に応じて歯を正しい位置に戻し、隣の歯と一緒に固定して安静を保つ処置を行います。ぶつけた歯は、処置のあともしばらく経過をみていく必要があります。
子どもが歯をぶつけて欠けた・折れたときは?保護者が確認したいこと
子どもが歯をぶつけたときは、欠けていない場合も含めて、その日のうちに歯科医院へ電話で相談することをおすすめします。子どもの歯のケガは見た目より奥に影響が及んでいることがあり、乳歯のケガが、その下で育っている大人の歯に影響することもあるためです。
日本外傷歯学会の「歯の外傷治療ガイドライン」では、歯の外傷は1〜2歳の乳幼児と7〜8歳の学童に多い傾向があるとされています。歩き始めて転びやすい時期や、活発に動き回る小学校低学年の時期は、特に注意しておきたい時期です。
ぶつけた直後に確認したいこと
- 歯が欠けた・折れた・抜けた・ぐらぐらする・位置がずれた、といった変化がないか
- 唇や歯ぐき、口の中の粘膜に傷や出血がないか
- 頭を強く打っていないか、意識や様子にいつもと違うところがないか
- 破片や抜けた歯が落ちていないか(見つかれば乾燥させずに保管)
頭を強く打った様子がある、ぼんやりしている、吐くといった場合は、歯よりも先に医科の医療機関を受診してください。口の中の出血は、清潔なガーゼで押さえて様子をみましょう。押さえても出血が続く場合は、早めに受診してください。
あとから起こることがある変化
ぶつけた直後は問題がなさそうに見えても、しばらくたってから、歯の色が灰色っぽく変わる、歯ぐきが腫れるといった変化が出ることがあります。同じガイドラインでも、歯の外傷のあとには合併症が生じることがあるため、経過観察を行うことが示されています。
治療が終わったあとも、歯の色や歯ぐきの様子に変化がないか、ご家庭でも気にかけてあげてください。お子さんの歯の治療や定期的なチェックについては、当院の小児歯科のページでご案内しています。
欠けた歯の治療法は?欠け方別の治し方と前歯・奥歯の違い
欠けた歯の治療法は、欠けた大きさと、歯の神経や根にまで及んでいるかどうかで決まります。小さな欠けは歯科用の樹脂で形を整え、大きな欠けは詰め物や被せ物で補い、神経に達している場合は神経の処置を行い、歯の根が割れている場合は抜歯を含めて検討するのが一般的です。
日本外傷歯学会のガイドラインでは、歯の見えている部分(歯冠)の破折を、ひび(亀裂)、神経の露出を伴わない破折、神経の露出を伴う破折に分けて、治療の考え方が示されています。診察では、見た目だけでなくエックス線検査なども行い、欠け方を確認したうえで治療法を決めます。
| 欠け方 | 主な治療 | 通院の一般的な目安 |
|---|---|---|
| 歯の表面が少し欠けた | とがった角をなめらかに整える、または歯科用の樹脂(コンポジットレジン)で修復 | 1回で終わることが多い |
| 象牙質まで欠けたが、神経には達していない | 樹脂での修復。破片があれば接着を検討。範囲が広い場合は詰め物・被せ物 | 1回〜数回 |
| 大きく欠けた・割れた(神経には達していない) | 詰め物(インレー)や被せ物(クラウン) | 型取りと装着で複数回 |
| 神経が露出している・神経まで達している | 神経を残す処置、または神経の治療(根管治療)のあとに被せ物 | 神経の治療を含めて複数回 |
| 歯の根が割れた・折れた | 割れ方により、固定や根の治療で残す方法を検討。残すのが難しい場合は抜歯 | 状態により大きく異なる |
※通院回数は一般的な目安であり、歯の状態や治療内容によって異なります。
小さな欠け:歯科用の樹脂(コンポジットレジン)で修復
コンポジットレジンとは、歯の色に近い歯科用のプラスチック(樹脂)のことで、欠けた部分に直接盛り付けて固め、形を整えます。歯を削る量が少なく、欠けが小さければ1回の通院で終わることが多い方法です。ごくわずかな欠けであれば、とがった角をなめらかに整えるだけで済むこともあります。
破片があれば接着できることも
欠けた破片がきれいな形で残っている場合は、歯に接着して元の形に戻せることがあります。日本外傷歯学会のガイドラインでも、神経の露出を伴わない破折では、歯の神経の生きた状態を保ち、正常な見た目と機能を回復することを目的に、破片の接着などを行うことが示されています。
ただし、破片の状態や欠け方によっては、接着に向かないこともあります。その場合は、樹脂での修復や詰め物・被せ物など、ほかの方法を検討します。
大きな欠け:詰め物・被せ物で補う
欠けた範囲が大きく、樹脂だけでは強度や形を保ちにくい場合は、型取りをして作る詰め物(インレー)や、歯全体を覆う被せ物(クラウン)で補います。残っている歯の量やかみ合わせ、歯ぎしりの有無などを考えて、素材や形を選びます。
神経に達している:神経を残す処置や根管治療
折れた部分から神経が露出している場合は、細菌の感染を防ぐための処置が必要です。露出した範囲や受傷からの時間などによっては、神経を残す処置を検討できることがあります。同じガイドラインでも、損傷が神経に及ぶ場合でも、適切な初期対応によって神経と歯を保存できる場合が多いとされています。
神経を残すのが難しい場合は、根管治療(歯の根の中の神経や感染した部分を取り除き、きれいにして薬を詰める治療)を行ったうえで、被せ物で歯を補います。神経の治療については、当院の精密治療・根管治療(神経の治療)のページでご案内しています。
歯の根が割れた:抜歯を検討することも
歯の根が縦に割れている場合や、歯ぐきの深いところまで割れている場合は、歯を残すことが難しく、抜歯を検討することがあります。一方で、割れ方や位置によっては、歯を残す方法を検討できる場合もあります。
抜歯と言われたときの考え方や残す治療の選択肢については、「歯を抜く」と言われた方へ向けて歯の破折と残す治療を解説した記事で詳しくご紹介しています。
前歯が欠けた場合と奥歯が欠けた場合の違い
前歯は見た目への影響が大きいため、周りの歯と色や形をなじませることを重視して治療法を選びます。小さな欠けであれば樹脂での修復、大きな欠けであれば被せ物が選択肢になり、保険診療の素材のほか、自由診療のセラミックを選ぶこともできます。セラミックについては当院のセラミック治療のページでご案内しています。
奥歯は噛む力が大きくかかるため、見た目に加えて強度を重視します。欠けた範囲が大きい場合は、詰め物や被せ物で歯を補強することが多く、歯ぎしりや食いしばりがある場合は、その対策もあわせて考えます。
歯が欠けたときの治療費は保険?自由診療になる場合
欠けた・折れた歯の治療は、樹脂での修復、詰め物・被せ物、神経の治療など、多くの場合に保険診療で対応できます。一方で、見た目や素材の特性を重視してセラミックなど保険適用外の素材を選ぶ場合は、自由診療(保険適用外)になります。
保険診療の費用は全国一律で、自由診療の標準的な費用は当院の料金表でご確認いただけます。どの治療法が合うかは、欠け方や歯の状態によって異なるため、診察のうえで選択肢と費用の見通しをご説明します。
歯が欠ける・折れる原因は?神経を取った歯が割れやすい理由と予防法
歯が欠ける・折れる主な原因は、虫歯による歯の弱り、歯ぎしり・食いしばりなどの強すぎる力、神経を取った歯のもろさ、転倒やスポーツなどの外傷です。原因によって予防のポイントも変わるため、欠けた歯の治療とあわせて原因を確認しておくことが大切です。
日本歯科医師会の「お口の119」でも、歯が欠けた・折れた・抜けたときに考えられるケースとして、虫歯や歯周病の進行、歯並びやかみ合わせにより歯に強すぎる負担がかかったケース、打撲や外傷で歯が丸ごと抜けたケースが挙げられています。
虫歯で歯が弱くなっている
虫歯が内側で広がっていると、表面にはそれほど変化がなくても歯の内部がもろくなり、食事の力で急に欠けることがあります。普段と同じものを食べていたのに欠けたという場合は、虫歯が隠れていることも考えられます。
歯ぎしり・食いしばり
睡眠中の歯ぎしりや日中の無意識の食いしばりでは、食事のときを上回る力が歯にかかることがあるとされています。この力がくり返しかかることで、歯に細かいひびが入り、やがて欠けたり割れたりする原因になります。原因や対策については歯ぎしり・食いしばりの原因と対策を解説した記事をご覧ください。
神経を取った歯は割れやすい
神経を取った歯(無髄歯:むずいし)は、虫歯の除去や根の治療の過程で歯の量が減っていることが多く、神経とともに歯の内部の血管もなくなるため、もろくなりやすいと考えられています。痛みを感じにくいため、欠けたり割れたりしても気づくのが遅れやすい点にも注意が必要です。
厚生労働省のe-ヘルスネットによると、2018年の全国抜歯原因調査では、歯を抜く原因のうち「破折」が18%を占め、その多くは外傷などではなく、神経を取った歯の破折と考えられています(e-ヘルスネット「歯の喪失の原因」)。
以前に神経の治療をした歯が欠けた・割れた場合は、痛みが少なくても、歯の根まで割れていないかを早めに確認することが大切です。
転倒・衝突・スポーツなどの外傷
転倒や衝突、ボールが当たるなどの外からの力でも、歯は欠けたり折れたりします。特に前に出ている前歯は外傷を受けやすく、子どもから大人まで起こりえます。
歯が欠けるのを防ぐためにできること
- 定期検診で、虫歯や古い詰め物・被せ物の劣化を早めに見つける
- 歯ぎしり・食いしばりがある場合は、歯科医院で作るマウスピースで歯への負担を減らす
- 氷やナッツの殻、硬いあめを噛み砕く、歯で袋を開けるなどの習慣を控える
- 接触の多いスポーツでは、マウスガードの使用を検討する
- 神経を取った歯は、被せ物で補強するなど、歯の状態に合わせた治療を相談する
よくある質問(FAQ)
歯が欠けたけれど痛くありません。歯医者に行くべきですか?
痛みがなくても受診をおすすめします。欠けた部分で象牙質が露出していると、しみる症状や虫歯が起こりやすくなり、目に見えないひびが広がることもあります。痛みがないうちに受診できれば、小さな修復で済むこともあります。
歯が欠けたら何日以内に受診すればいい?すぐ行けないときは?
歯が丸ごと抜けた・大きくぐらつく・神経が見えている場合は、すぐに歯科医院へ連絡してください。小さな欠けで痛みがない場合でも、数日以内を目安に早めに予約しましょう。すぐに行けないときは、欠けた側で噛まない、やわらかい食事にするなどの応急処置を続けながら、まず電話で相談してください。
欠けた歯の破片はどうすればいい?くっつけられますか?
破片は捨てずに、乾燥させないよう清潔な容器で水や牛乳に浸して持参してください。破片の形や欠け方によっては、歯科医院で歯に接着して元の形に戻せることがあります。破片が細かく割れている場合などは接着に向かず、樹脂での修復などを検討します。
市販の接着剤で付けてもいいですか?
市販の瞬間接着剤などで付けるのは避けてください。口の中で使うことを想定したものではなく、歯ぐきや粘膜への刺激や、すき間に汚れを閉じ込めるおそれがあります。接着剤が残ると、歯科医院での処置に余分な手間がかかることもあります。
前歯が欠けた場合の治療は?見た目は戻せますか?
小さな欠けは歯の色に近い樹脂で、大きな欠けは被せ物などで、周りの歯になじむよう形や色を整えます。破片がきれいに残っていれば接着できることもあります。仕上がりの見た目は、欠けた範囲や歯の色、選ぶ素材によって異なります。
子どもが歯をぶつけて欠けた・ぐらぐらする場合は?
欠けていない場合も含めて、その日のうちに歯科医院へ電話で相談してください。ぐらつく歯は触らず、抜けた歯があれば乾燥させないよう保存液か牛乳に入れて持参します。乳歯のケガが下で育つ大人の歯に影響することもあるため、治療後も経過をみていくことが大切です。
歯が欠けたときの治療費は保険ですか?
樹脂での修復、詰め物・被せ物、神経の治療など、多くは保険診療で対応できます。セラミックなど保険適用外の素材を選ぶ場合は自由診療となり、標準的な費用は当院の料金表でご確認いただけます。費用の見通しは欠け方によって異なるため、診察のうえでご説明します。
欠けた歯の治療は痛いですか?何回くらい通院しますか?
神経に近い部分を処置する場合などは、局所麻酔を使って痛みに配慮しながら行います。ごく小さな欠けであれば、麻酔を使わずに整えられることもあります。通院回数は、樹脂での修復なら1回で終わることが多く、被せ物や神経の治療が必要な場合は複数回になります。
欠けた歯で舌や頬が傷つくときは?
とがった部分に舌を当てないよう意識し、口の中を清潔に保ってください。やすりなどで自分で削るのは避けましょう。歯科医院では、とがった角をなめらかに整えたり、樹脂で覆ったりする処置ができるため、傷がくり返しできる場合は早めに受診してください。
自由診療について
- 治療内容: 欠けた・折れた歯を、保険適用外のセラミックなどの素材を用いた詰め物・被せ物で修復する治療
- 費用: 自由診療(保険適用外)。費用は治療内容・本数・素材等により異なります。標準的な費用は料金表をご確認ください。
- 期間・回数の目安: 型取りから装着まで複数回の通院が一般的で、神経の治療が必要な場合はさらに期間がかかります。症例により異なります。
- 主なリスク・副作用: 詰め物・被せ物のために歯を削る必要があること、強い力や歯ぎしりにより割れたり欠けたりすることがあること、装着後に一時的にしみることがあること、土台となる歯の状態によっては再治療が必要になることがあること
- お問い合わせ: アクセス・診療時間/お電話 042-316-1588
武蔵小金井で歯が欠けた・折れたときのご相談なら
歯が欠けた・折れたときに必要な処置は、欠け方や歯の神経・根の状態によって変わります。次のような方は、まずはご相談ください。
- 歯が欠けた・折れたけれど、痛みがないので受診すべきか迷っている方
- 欠けた破片が手元にあり、元に戻せるか知りたい方
- 以前神経を取った歯や、被せ物のある歯が欠けた・割れた方
- お子さんが歯をぶつけて、欠けた・ぐらつくなどの心配がある方
ご相談から治療開始までの一般的な流れは、次のとおりです。
- WEB予約またはお電話でご予約いただきます(欠けた状況や痛みの有無をお伝えください)
- ご来院時に、欠けたときの状況や症状をお伺いします
- お口の中の検査やエックス線検査で、欠け方や神経・根の状態を確認します
- 検査結果をもとに、考えられる治療法、通院の目安、費用についてご説明します
- ご納得いただいたうえで治療を始めます(痛みなどがある場合は応急的な処置を優先します)
武蔵小金井で歯のお悩みのご相談は武蔵小金井ハーヴェスト歯科・矯正歯科へ
JR中央線「武蔵小金井駅」南口から徒歩3分(SOCOLA武蔵小金井クロス1階)。土日も診療(祝日休診)。費用・期間・リスクもご説明しますので、まずはお気軽にご相談ください。
お電話:042-316-1588/アクセス・診療時間/料金表
当院はJR中央線「武蔵小金井駅」南口から徒歩3分で、日曜日も診療しています(祝日は休診です)。基本は予約制ですが、急な痛みなどには当日予約・急患対応を行っていますので、詳しくはよくある質問のページもご確認ください。
参考文献・出典
- 日本歯科医師会 テーマパーク8020「お口の119:歯が欠けた、折れた、抜けた」
- 日本歯科医師会 テーマパーク8020「歯牙再植」
- 日本外傷歯学会「歯の外傷治療ガイドライン(平成24年10月改訂)」
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯の喪失の原因」
監修:小林 瑞穂(歯科医師・一般/外科担当/医療法人社団デルタ)プロフィール
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断や治療方針は診察のうえ個々の状態により異なります。詳しくは歯科医師にご相談ください。

この記事の監修者
小林 瑞穂歯科医師/一般・口腔外科担当医
外科処置を中心に、インプラント治療・親知らずの抜歯などの口腔外科処置を担当。
公開日 2026.10.15 最終更新日 2026.10.16 | 歯科医師紹介
