歯科コラムcolumn

全顎的インプラント治療 ― 噛み合わせを再構築するということ2025/11/11

(武蔵小金井ハーヴェスト歯科・矯正歯科)

歯を失うということは、単に咀嚼を失うだけではありません。
噛み合わせが崩れれば、筋肉や顎関節の動き、顔貌のバランス、さらには全身の姿勢にまで影響が及びます。
一部の歯だけではなく、口全体のバランスが崩れてしまった場合に求められるのが、全顎的な再建です。

私たちが行う全顎的インプラント治療は、歯を並べ直す作業ではなく、噛み合わせそのものを再構築する治療です。
一本単位の修復ではなく、顎の動き、筋肉の緊張、咬合平面の傾きまで含めて再設計する。
そのためには、精密な診査診断と複数領域の知識、そして何より医学的整合性が欠かせません。


咬合の基準を再定義する

全顎的治療では、まず現状の咬合を一度ゼロに戻します。
顎関節の位置を三次元的に記録し、咬合高径や咬合平面を再構成する。
CTと口腔内スキャンを組み合わせ、理想的な顎位をシミュレーション上で確定させたうえで、
補綴と外科、矯正、歯周のすべてをそこから逆算していきます。

「どこにインプラントを入れるか」よりも、「どこで噛ませるか」を明確にすること。
その定義づけこそが、全顎的治療の出発点になります。


矯正を併用して噛み合わせを整える

多くの全顎症例では、残存歯が傾斜していたり、咬合平面が歪んでいることがあります。
この状態のままインプラントを入れても、正しい咬合関係は得られません。
そこで、必要に応じて矯正治療を先行し、歯軸や歯列を補綴設計に適した位置へと導きます。

歯列を整えることで、咬合の高さやバランスが安定し、最終的な補綴物の寿命にも直結します。
見た目を整えるだけでなく、機能的な咬合再建のために矯正的アプローチを組み込む。
これが当院の全顎治療における大きな特徴です。


骨と歯ぐきを整えるための再生治療

重度の歯周病や長期的な欠損で骨が吸収している場合、
まずはインプラントを支える基盤を再生するところから始まります。
骨の量が不足している部位には、骨再生誘導法(GBR)やサイナスリフト、ソケットリフトなどを適切に選択します。
また、歯ぐきが薄い症例では結合組織移植(CTG)を行い、厚みと弾力を補うことで審美性と清掃性を確保します。

土台となる骨と歯周組織が安定していなければ、いかなる補綴設計も成立しません。
外科と補綴の境界を曖昧にせず、順序立てて整えることが、長期的な成功の鍵になります。


補綴主導型の設計で仕上げる

当院の全顎的インプラント治療では、すべての計画を最終補綴の位置から逆算して設計します。
いわゆる補綴主導型インプラント治療です。
CTデータとスキャン情報を統合し、最終的な咬合高径や審美ラインをデジタル上で確認したうえで、
サージカルガイドを用いて安全かつ精密に手術を行います。

手術そのものが目的ではなく、再建された口腔全体が機能的に調和することがゴール。
そのため、すべてのステップが「どんな噛み合わせを作るか」に直結しています。


専門領域を横断するチーム体制

全顎的治療では、外科、補綴、矯正、歯周、それぞれの専門知識と技術が求められます。
武蔵小金井ハーヴェスト歯科・矯正歯科では、それぞれの分野に精通したドクターが連携し、
一人の患者を中心に、診断・設計・治療・メンテナンスまでを一貫して担当します。

このチーム体制により、単一分野では難しい症例でも、解決の可能性が生まれます。
骨造成や咬合再構成を含む高難度の症例でも、段階的に治療を重ねていくことで、
確実に「噛める口」を取り戻す道筋を描くことができます。


機能回復の先にあるもの

全顎的インプラント治療は、歯を増やす治療ではありません。
噛む、話す、笑うといった口の機能をもう一度取り戻し、
食事や会話を心から楽しめる状態へ導くことが目的です。

咬合の再構成によって顔貌や姿勢が整い、
失われていた表情の自然さを取り戻すことも少なくありません。
それは単に「噛めるようになった」というレベルではなく、
人生の質そのものが変わる瞬間です。


もう一度、自分の歯のように噛むために

難易度の高い症例でも、正確な診断と段階的なアプローチがあれば、解決の可能性は十分にあります。
武蔵小金井ハーヴェスト歯科・矯正歯科では、咬合・骨・歯周・矯正・補綴のすべてを統合し、
機能と審美の両立を目指した全顎的インプラント治療を行っています。

ただ人工の歯を入れるのではなく、
本来あるべき噛み合わせと咀嚼機能をもう一度再構築する。
その積み重ねが、患者一人ひとりの「再び噛める人生」へとつながっていきます。

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