歯科コラムcolumn
正しいマウスピース矯正のために。2025/12/01
―見た目ではなく「本当に咬める」ことを目指して―
最近、矯正治療のご相談を受ける中で、「マウスピース矯正って、歯はちゃんと動くんですか?」という質問をいただくことが増えてきました。テレビやSNSでもよく目にするようになったアライナー矯正ですが、その分、メリットだけが先行して伝わってしまい、実際に何ができて、どこに注意が必要かを知らずに治療が進んでしまっているケースもあります。
マウスピース矯正は、正しく行えばとても有効な手段です。しかし一方で、診断が不十分だったり、計画に無理があったりすると、歯が中途半端な位置にとどまったり、咬み合わせが崩れたり、最悪の場合は顎関節や歯周組織に悪影響を及ぼすことすらあります。
私たちはいま、そうしたリスクを避けながら、より良い治療結果を目指すために、アライナー矯正の診断・設計について体系的に学び直しています。マウスピースだからこそ可能な細やかなコントロールを最大限活かしながらも、従来のワイヤー矯正と同じく、「しっかりと咬めること」「長く安定すること」「全体の調和が取れていること」を治療の目的としています。
矯正治療は、歯並びを整えることが目的のように思われがちですが、並べるだけでなく、正しく並べることが何より大切です。
その「正しく」とは、ただ見た目がキレイということではなく、
・咬み合わせがきちんと合っているか
・歯周組織に負担がかかっていないか
・顎や筋肉、呼吸に悪影響を与えていないか
といった機能面を含めた視点で判断されるべきものです。
マウスピース矯正を含むあらゆる矯正治療において、私たちが最も重視しているのは、患者さんの将来的な健康に悪影響を与えないこと。治療を進める中で、もしそのまま進行すると問題が出そうなケースでは、一度立ち止まり、計画を見直すこともあります。無理な移動を避け、無理な設計をせず、現実的に達成可能なゴールを、医学的な裏付けをもとに描いていく。矯正治療において最も重要なのは、「歯を動かす力」ではなく「どのように動かすべきかを見極める力」だと感じています。
私たちが今取り組んでいるアライナー矯正では、まずスキャンデータと写真、必要に応じてレントゲンやCTなども用いて、現在の咬み合わせと骨の位置、歯列の幅、歯の角度などを詳細に分析します。その上で、「この歯はどこまで動かせるか」「どのタイミングでどの歯を動かすか」といった工程を綿密に計画し、患者さんにも治療の全体像を丁寧に説明します。
一見すると簡単そうに見えるマウスピース矯正ですが、設計の精度と臨床判断が仕上がりに大きな差を生む治療法です。マウスピースを装着すれば自然に歯が動いてくれるわけではありません。逆に、治療計画が曖昧なまま進めてしまうと、咬み合わせにズレが生じたり、歯の根にストレスがかかってしまったり、予期しない位置で動きが止まってしまうことがあります。
だからこそ私たちは、「簡単・楽・見えない」だけではなく、「安全・機能・長期安定」というキーワードを大切に、アライナー矯正に向き合っています。
そしてもう一つ大切なのは、患者さんの精神的な準備と治療への向き合い方です。矯正治療は、見た目の改善だけでなく、生活習慣や口腔機能、時には呼吸や姿勢にまで関係する大きなプロセスです。歯を動かすことには、身体全体に少なからず影響があります。だからこそ、「どうして矯正をしたいのか」「治療後にどんな状態を目指したいのか」を、治療のスタート前に一緒に整理することを大切にしています。
アライナー矯正を希望される患者さんの中には、矯正が初めての方もいれば、過去にワイヤー矯正を経験されている方、あるいは再治療を希望される方もいらっしゃいます。それぞれ背景や目的が異なるからこそ、画一的な治療ではなく、その人にとって本当に必要なプロセスを一緒に見極めていく姿勢が重要だと思っています。
矯正は「歯を並べること」ではなく、「心身ともに整える医療」だという意識を、私たちはこれからも忘れずに持ち続けていきます。
アライナー矯正に関心がある方も、不安を抱えている方も、まずはご自身の状態をきちんと知るところから始めてみませんか。必要であれば、診断や計画だけでもご提案できますので、無理に治療を進めるようなことはありません。どんな治療でも「納得してスタートすること」が何より大切だと考えています。
見た目だけではなく、しっかり咬めて、健康を守れる矯正治療を。
それが、私たちが取り組んでいるアライナー矯正です。
―見た目ではなく「本当に咬める」ことを目指して―
最近、矯正治療のご相談を受ける中で、「マウスピース矯正って、歯はちゃんと動くんですか?」という質問をいただくことが増えてきました。テレビやSNSでもよく目にするようになったアライナー矯正ですが、その分、メリットだけが先行して伝わってしまい、実際に何ができて、どこに注意が必要かを知らずに治療が進んでしまっているケースもあります。
マウスピース矯正は、正しく行えばとても有効な手段です。しかし一方で、診断が不十分だったり、計画に無理があったりすると、歯が中途半端な位置にとどまったり、咬み合わせが崩れたり、最悪の場合は顎関節や歯周組織に悪影響を及ぼすことすらあります。
私たちはいま、そうしたリスクを避けながら、より良い治療結果を目指すために、アライナー矯正の診断・設計について体系的に学び直しています。マウスピースだからこそ可能な細やかなコントロールを最大限活かしながらも、従来のワイヤー矯正と同じく、「しっかりと咬めること」「長く安定すること」「全体の調和が取れていること」を治療の目的としています。
矯正治療は、歯並びを整えることが目的のように思われがちですが、並べるだけでなく、正しく並べることが何より大切です。
その「正しく」とは、ただ見た目がキレイということではなく、
・咬み合わせがきちんと合っているか
・歯周組織に負担がかかっていないか
・顎や筋肉、呼吸に悪影響を与えていないか
といった機能面を含めた視点で判断されるべきものです。
マウスピース矯正を含むあらゆる矯正治療において、私たちが最も重視しているのは、患者さんの将来的な健康に悪影響を与えないこと。治療を進める中で、もしそのまま進行すると問題が出そうなケースでは、一度立ち止まり、計画を見直すこともあります。無理な移動を避け、無理な設計をせず、現実的に達成可能なゴールを、医学的な裏付けをもとに描いていく。矯正治療において最も重要なのは、「歯を動かす力」ではなく「どのように動かすべきかを見極める力」だと感じています。
私たちが今取り組んでいるアライナー矯正では、まずスキャンデータと写真、必要に応じてレントゲンやCTなども用いて、現在の咬み合わせと骨の位置、歯列の幅、歯の角度などを詳細に分析します。その上で、「この歯はどこまで動かせるか」「どのタイミングでどの歯を動かすか」といった工程を綿密に計画し、患者さんにも治療の全体像を丁寧に説明します。
一見すると簡単そうに見えるマウスピース矯正ですが、設計の精度と臨床判断が仕上がりに大きな差を生む治療法です。マウスピースを装着すれば自然に歯が動いてくれるわけではありません。逆に、治療計画が曖昧なまま進めてしまうと、咬み合わせにズレが生じたり、歯の根にストレスがかかってしまったり、予期しない位置で動きが止まってしまうことがあります。
だからこそ私たちは、「簡単・楽・見えない」だけではなく、「安全・機能・長期安定」というキーワードを大切に、アライナー矯正に向き合っています。
そしてもう一つ大切なのは、患者さんの精神的な準備と治療への向き合い方です。矯正治療は、見た目の改善だけでなく、生活習慣や口腔機能、時には呼吸や姿勢にまで関係する大きなプロセスです。歯を動かすことには、身体全体に少なからず影響があります。だからこそ、「どうして矯正をしたいのか」「治療後にどんな状態を目指したいのか」を、治療のスタート前に一緒に整理することを大切にしています。
アライナー矯正を希望される患者さんの中には、矯正が初めての方もいれば、過去にワイヤー矯正を経験されている方、あるいは再治療を希望される方もいらっしゃいます。それぞれ背景や目的が異なるからこそ、画一的な治療ではなく、その人にとって本当に必要なプロセスを一緒に見極めていく姿勢が重要だと思っています。
矯正は「歯を並べること」ではなく、「心身ともに整える医療」だという意識を、私たちはこれからも忘れずに持ち続けていきます。
アライナー矯正に関心がある方も、不安を抱えている方も、まずはご自身の状態をきちんと知るところから始めてみませんか。必要であれば、診断や計画だけでもご提案できますので、無理に治療を進めるようなことはありません。どんな治療でも「納得してスタートすること」が何より大切だと考えています。
見た目だけではなく、しっかり咬めて、健康を守れる矯正治療を。
それが、私たちが取り組んでいるアライナー矯正です。
