歯科コラムcolumn

なるべく削らないという考え方が、審美治療の新しい常識に。ラミネートベニアという方法について2025/08/17

歯を白くしたい、形を整えたい、すき間をなくしたい。そういった審美的なご希望に応える治療は、これまでクラウン(被せ物)が中心でした。しかし最近では、「できるだけ削らずに歯を美しく整える」という流れが、世界的に主流となってきています。

その代表的な方法が「ラミネートベニア」と呼ばれる治療です。歯の表面に薄いセラミックを貼りつけることで、色や形を整える方法で、必要に応じてごくわずかな削合を行うケースもありますが、歯を丸ごと削るクラウンとは異なり、エナメル質を極力残せるのが大きな特徴です。

この“なるべく削らない”という考え方は、審美歯科の分野だけでなく、予防や保存の観点からも大切にされてきました。むし歯になっていない歯質は、それ自体が健康の証でもあり、一度削ってしまえば二度と元には戻りません。ラミネートベニアは、そうした歯の構造をできる限り守りながら、見た目の美しさを整えることができる治療として、多くの国で取り入れられるようになってきています。

日本でもこの流れにいち早く取り組んでいるのが、代官山アドレス歯科の大河雅之先生です。
著書や講演などで、ラミネートベニア治療における削除量の考え方や、適応症の見極め、接着操作の精度の重要性について、明確な方針を打ち出されています。単に“削らない=よい”という単純な話ではなく、「なぜ削らないのか」「どこまで削るべきか」「どうすれば長く安定するか」といった点を丁寧に考慮することが、結果として良好な経過につながるということを、一貫して伝えておられます。

ラミネートベニアは、歯の表層にあるエナメル質がしっかりと残っているケースに適応されます。たとえば、軽度の変色、前歯の隙間、すり減りなどに対して、自然な美しさを取り戻す方法として非常に有効です。ただし、象牙質が大きく露出している場合や、かみ合わせの強い干渉がある場合には、別の方法をご提案することもあります。

当院(武蔵小金井ハーベスト歯科・矯正歯科)でも、「なるべく歯を削らず、できるだけ自然な見た目で整えたい」というご希望を持つ方に対し、ラミネートベニアを選択肢のひとつとしてご案内しています。ただ、すべてのケースに適応するわけではないため、事前の丁寧な診査・診断が欠かせません。

治療においては、歯の色や形、笑ったときの見え方なども踏まえ、技工士と密に連携しながら、患者さんごとにデザインされたセラミックを一つひとつ製作していきます。装着後は、むし歯や歯周病のリスクを抑えるために、清掃性やメンテナンス性も重視しています。

「削らない」「痛くない」「美しい」——こういったキーワードが注目される今、見た目を整えるだけでなく、歯そのものを守るという視点を持つことは、とても大切です。歯科医療は、ただ見た目をきれいにするものではありません。その人の生活や価値観を支える医療の一部です。

ラミネートベニアにご興味がある方、治療の選択肢として知っておきたいという方は、どうぞお気軽にご相談ください。
無理な提案をすることはありません。ご自身の状態を正しく知り、そのうえで納得のいく治療を選んでいただけるよう、丁寧にサポートさせていただきます。

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