• 2021/01/28
  • 歯科コラム

マイクロスコープを使った根の治療

歯科医院では、「神経を抜く」といった言葉を耳にした方もいると思います。
一応説明は受けるかもしれませんが、よくわかりませんよね。。
本日は、大事な歯の神経と血管を取ってしまう事のリスクをご説明します。

まず、お話しなくてはならないのが、大前提として歯の神経はすごく大切だということです。神経があることで、虫歯や外傷などのいろいろなトラブルを痛みとして教えてくれるセンサーのような役割があり、早期発見早期治療につながります。また、歯の中には、神経と一緒に血管も並走しており様々な外敵から免疫によって守る役割をしております。

さて、神経及び血管を取り除いてしまうとどうなるのか。

一つは歯が割れやすくなるリスク。真っ二つに割れやすくなります。ケースにもよりますが深い位置で割れた場合は、残念ながらほぼ抜歯となります。
二つ目は色が変色するリスクです。これはリスクというよりは必ず経年的に起こります。前歯だと特に見た目が悪くなりますね。
最後に三つ目は細菌感染のリスクです。神経が入っていた空間を細菌が侵入し、最後には根の先から顎の骨へと進行し、顎の骨を溶かすといった病気になります。
顎の骨を溶かす病気は、根尖性歯周炎といいます。これは、かなりの痛みが出て、歯医者に駆け込むはめになる病気です。
ならないようにするために、もし神経を絶対取らなくてはいけない状況になってしまったら、きちんと神経をきれいに取って、洗浄、神経の代わりになるお薬を入れることが重要です。
その治療においてマイクロスコープと呼ばれる、歯科の顕微鏡を使った治療が大変有用です。
マイクロスコープは、肉眼の数十倍の拡大した状態で治療が可能です。肉眼では、残念ながら根の治療は完ぺきにはできません。それは肉眼では根の中が見えないからです。根の中は複雑な構造になっているので、取り残しなどが存在します。確実にきれいにしてきちんと根の治療ができれば、その後感染症になる確率を90パーセント以上の確率で防止できるといわれています。(それでも100はありません)裏を返せば、きちんと根の治療ができていないと、そのパーセントが格段に落ち、根尖性歯周炎になりやすくなります。なってしまったらその時はもう一度根の治療が必要になります。再度の根の治療においてもやはりマイクロスコープは有用ですが、マイクロスコープを使った場合でも、2度目の治療のほうが成功率は下がるといわれています。1回目の治療を成功させることが鍵ですね。

一番大事なことは、神経を保存することです。しかし医学的にどうしても残せない場合は、マイクロスコープを使った治療をすることで、その歯を長く持たせることが可能になります。

もし根の治療でお困りの方がおりましたら、是非ご相談ください。

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