• 2022/04/23
  • 歯科コラム

予防~プロフェッショナルケアについて~

先日はむし歯の深いお話をし、セルフケアでできるむし歯予防についてふれました。
今回は、歯科医院で行う歯科疾患予防のお話です。
歯科医院で行う予防法をプロフェッショナルケアといいます。
この方法は、専用の機材・薬品を用いて行っていきます。
方法は4つ挙げられます。

  1. スケーリング
  2. 歯面研磨
  3. フッ化物の応用
  4. 小窩裂溝填塞法(フィッシャーラント)

1、スケーリング
  
スケーラーという特殊な器具を用いて機械的に歯石や沈着物を除去する方法です。
歯は、歯周組織で歯を支えています。
歯周組織とは、歯肉・歯槽骨・歯根膜・セメント質で構成され、歯と歯肉の間には歯肉溝というポケットが存在します。
歯肉溝は、正常な深さで約2mmといわれ歯周組織に病変があると歯肉溝の深さは変動します。
この病変を歯周病といい歯周組織に原発して組織を破壊していく歯科疾患のひとつです。
歯垢の細菌が主な原因であり、歯肉に炎症が限局されたものは歯肉炎といい、炎症が歯周組織にまで広がったものを歯周炎といいます。                                     
これらの疾患の予防のため、スケーリングを行います。
歯科医院では主に超音波スケーラーを用い、高周波電気のエネルギーを速い振動の超音波振動に換え、その力で歯石を粉砕していくという原理です。
キャビテーション効果もあり、墳霧状の水滴の内部の気泡が破裂すると同時に歯周ポケット内もきれいに洗浄できるという能力もあります。
ただ欠点として、超音波特有の音・振動の不快感や、深い歯肉縁下の歯石・沈着物の除去は不向きであると考えられます。
そのため、欠点を補うために手用のスケーラーを併用したりします。

2、歯面研磨

スケーリング後に歯面に残留しているプラークや歯石・沈着物(ステイン)の除去を行うための研磨処置です。
専用のブラシやシリコンのカップをハンドピースに取り付け、モーターの力で除去していきます。
スケーリングで歯面が傷つき粗造になったままだとわずかな溝にプラークが溜まりやすくなってしまいますので、その歯面をツルツルにして、歯石の再沈着予防します。
また、食品、飲料物、たばこなどが原因の沈着物はプロによる歯面研磨で除去できます。

3、フッ化物の応用

フッ素は、歯や骨をつくるには欠かせない物質です。
現在、日本で販売されている歯磨き粉の中にも含まれておりフッ化物の最高濃度は1500(1450)ppm以下と定められております。
   ※製品により濃度は異なります。
   ※6歳未満の小児には高濃度の歯磨剤の使用は避けましょう。
     
では、歯科医院で取り扱っているフッ化物の濃度はどれくらいだと思いますか?

答えは9000ppmのフッ化物を使用しています。


直接歯に作用させ、歯の質の強化に努めます。
フッ化物の効果的な時期は、萌出直後の歯が最もフッ化物の取り込みが良いとされ1歳から応用が可能です。
しかし、成人の場合でも歯と歯の間のむし歯予防や根面のむし歯予防に効果的ですので、大人の方でもフッ化物は応用できます。

フッ化物は1度塗っただけではむし歯の予防にはなりません。
継続することが大切で、年に2回以上定期的に塗ってもらいましょう。

4、小窩裂溝填塞

歯を削らずにむし歯になりやすい(歯垢が停滞しやすい)溝を填塞材で封鎖する方法です。
適応は、萌出途中の健康な乳歯・永久歯が望ましいとされています。
填塞後は6ヵ月を目安に来院してもらい、割れていないかを確認しフッ化物の塗布も行うことで、むし歯予防の効果はさらに上がると考えられています。

当院では、お子様からご高齢の患者様にも安心してご来院していただけるよう、付き添いの方あるいはご本人様とのコミュニケーションを重視し診療して参ります。治療に関してや細かいことでも構いませんのでぜひお気軽にご相談ください。




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